AI をどこから入れるか

AI に経営数値を計算させない — 財務レポーティングの AI ガバナンス設計

計算は認定データと定型クエリに固定し、AI には要約と出典提示だけを任せる設計にした

業種・関与mixednuts 自社基盤/複数クライアント共通 · 経営管理/レポーティング基盤 · STRATEGY · AI

計算の担い手

定型クエリ

AI の役割

要約と出典

検算

独立ルート

課題

AI エージェントに月次レポートの初稿を書かせる試みは、要約の質より「数字の出どころ」で躓く。集計ロジックを AI が都度生成すると、同じ質問に違う数字が返り、レビュアーは毎回ゼロから検算することになる。自社のクライアント向けダッシュボードと月次レポートの自動生成で、この問題に正面から向き合った。

LLM はもっともらしい数字を作れてしまう。経営会議で一度でも根拠のない数字が出ると、レポート全体の信頼が失われる。速さと正しさを両立するには、AI が触ってよい領域を構造で決める必要があった。

  • AI が集計ロジックを都度生成すると、同じ質問に対して数字がぶれる
  • 数字の出典が本文に残らず、レビュアーが全件を再計算する羽目になる
  • 計算と要約を同じエージェントが担うと、誤りがもっともらしい文章で覆い隠される
  • 経営会議で一度でも根拠のない数字が出ると、レポート全体の信頼が失われる
「速い数字より、検算できる数字」

アプローチ

正本の数字を 1 か所(認定データマート)に集約し、AI は SQL を書かず定型クエリ API 経由でしか数値に触れない。AI の出力に含まれる数字には必ず参照 ID を伴わせ、別ルートで再計算して一致しないものは出さない。

  1. 01

    Phase 1

    認定データマートに正本を集約

    経営会議で使う数値の定義と集計ロジックを 1 か所に固定し、ダッシュボードとレポートが同じ正本を読む構造にした。

  2. 02

    Phase 2

    定型クエリ API — AI に SQL を書かせない

    AI が数値に触れる経路を、定義済みの定型クエリだけに限定。自由な集計はできない代わりに、返る数字は常に検算可能になった。

  3. 03

    Phase 3

    独立検算と出典強制

    AI の出力に含まれる数字には参照 ID を必ず付け、別ルートで再計算して一致しないものは出力しない。出典のない数字はレビュー前に機械的に弾く。

成果

自社のダッシュボードと月次レポート生成に適用し、運用中。AI に計算させない分業を、クライアント案件の AI 導入支援でも標準の設計原則として提案している。

  • 01

    AI が生成するレポート本文から「出典のない数字」を構造的に排除し、レビューの対象を要約の質に絞れるようになった

  • 02

    同じ質問に同じ数字が返る状態を作り、ダッシュボードと月次レポートの数字のずれをなくした

  • 03

    根拠 1 行・出典・信頼度を必ず添える自社の出力契約として、他案件にも横展開した

学び

  • AI 活用の設計は「何をさせるか」より「何をさせないか」を先に決めるほうが速い
  • 出典の強制は文章のルールではなく、パイプラインの構造で担保しないと守られない
  • 検算を別ルートにすると、AI の誤りが文章の巧さに紛れ込まなくなる

応用できる領域

経営数値・KPI レポートに AI を組み込みたい事業会社の経営企画・FP&A、複数クライアントのレポートを自動生成する支援会社。数字の信頼性が意思決定に直結する領域全般。

役割・成果物

自社基盤の設計者兼運用責任者。データマート定義、定型クエリ API、検算・出典ルールの設計と、月次レポート生成フローへの実装を担当。

  • 01

    認定データマートの定義書と集計ロジック

  • 02

    定型クエリ API と AI 側の呼び出し制約

  • 03

    出典強制・独立検算のチェックルール

  • 04

    月次レポート初稿の自動生成フロー

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